物語を楽しめる最高の元ネタ
物語を何倍も楽しむ方法。これを知れば、映画や小説、さらには漫画やアニメでも何十倍と楽しめます。
めっちゃ簡単。それはズバリ...
「元ネタ」を知ること。
例えば、イギリスのBBCで放送された「SHERLOCK」は、現代にシャーロックホームズがいたら、という設定で物語が進むので、言わずもがな「シャーロックホームズの冒険」を読み込んでいれば何倍も楽しめます。(ドラマの話は、原作をベースにほぼオリジナルの脚本で作られています)
(日本語版のDVDは、海外版の6倍くらいします。めっちゃ面白いドラマなんですけど、DVDは借りてみるか、海外版で英語字幕で見るのがおすすめ...)
他にも、ドラマ、映画で随所に昔の作品からのオマージュなどがあったりしますよね。それらを知っておけば、何も知らない状態で見るよりはるかに楽しめるはずです。
でも、作品ごとに元ネタ探すの面倒くさいですよね。
正直、やってらんねぇ。
でも、一つだけ、どんな物語にも共通する、大元の元ネタがあります。
それを読めば、というかそれさえ読めば映画や小説は何倍も楽しめる。
物語を楽しむための大元の元ネタ
全ての物語の元ネタは「神話」です。
皆さん、「神話」って読んだことあります?
神話とは、例えば日本で言えば「古事記」や「日本書紀」、海外で言えば「聖書」、「ギリシア神話」、「ローマ神話」、「インド神話」、「ケルト神話」などが有名ですね。
最近はソーシャルゲームでもキャラクターとして使用されているので ゼウスやヘラ、アテネやイザナギ、イザナミ、ヤマトタケル、などは聞いたことあると思います。シヴァやガネーシャなども。
「 でも元ネタって言っても、全然関係ないような話もあるよね?」と思われた方、いると思います。トトロと神話関係あるの?とかシャーロックと神話関係あるの?と思われた方、
あります!!!
何故神話を読むと元ネタを知ったことになるのか
神話ってどの話もとても似ているんですよ。
「古事記」
イザナギの奥さんが死ぬ→黄泉の国へ迎えに行く→連れて帰る条件として奥さんの姿を見るなと言われる→途中で我慢できずに見る(約束を破る)→結局奥さんを連れて帰れなかった
「ギリシア神話」
オルフェウスの奥さんが死ぬ→黄泉の国へ迎えに行く→連れて帰る途中に振り返るなと言われる→途中で振り返る(約束を破る)→結局奥さんを連れて帰れなかった
どうですか?めっちゃ似てますよね。これは代表的なものですが、例えば神話は世界の始まりを語るとき「混沌」や「闇」から始まります。下記は聖書「創世記」と他の神話の比較。
モイヤーズ「創世記」の第1章。「初めに、神は天地を創造された。地は混沌 であって、闇が深い水の表面にあった」
キャンベル「こちらは「世界の歌」という、アリゾナのピマ・インディアンの伝説です。「初めに、至るところに闇だけがあったー闇と水だけが。やがて闇がところどころで固まり、厚くなった。集まっては別れ、また集まっては別れ......」(ジョーセフ・キャンベル ビル・モイヤーズ『神話の力』、p.113)
長いので上の部分だけ抜き出しますが、この後にも世界中の神話と創世記の似通った部分がいくつもでてきます。
ところで、神話で出てくる世界の始まりについて大抵「闇」ですよね。「光」ではない。
何故だと想いますか?
それは、神話の元ネタが人間の生命体験だからです。
人間は皆、最初はお母さんのお腹の中にいますよね。つまり世界は「闇」につつまれています。聖書では特に顕著にそれが出ています。
「神は言われた、『光あれ』と。すると光があった」
これ聞いたことありませんか?聖書に出てくる言葉ですが、これが言われるのは先ほど引用した「闇が深い水の表面にあった」の後です。
お母さんのお腹の中は、闇と水の世界です。じゃあ生まれた瞬間見えるのは?そう、「光」ですね。
つまり世界中の神話が似通ってしますのは、何もパクリあったわけではなく、人間誰しもが体験する、生命体験を書いてあるからです。
つまり「神話」は究極の人間あるある...、って感じかな。(雑)
自分が面白いと感じるものって、どこか自分が共感できる部分が必ずありますよね。神話はそれを無意識レベルで表現しているので、たとえ全然関係ない英雄の話でも、生命体験に基づいて作られているので、否応なしに共感してしまうものです。
読んだときは「なんじゃこれ」と思うものも多いと思います。かなりぶっ飛んでる話がたくさんあるので。
ただ、物語の基本は「神話」です。
有名なのが「英雄の旅」。
主人公が、元にいた場所から旅に出て、戻ってくるというあらすじ。
これほとんどの物語に共通しますよね。旅は実際の旅、内面的な旅もあります。
行って、帰って来る、が物語の基本です。
すべての道はローマに通じる、と言う言葉がありますがすべての物語は「神話」に通じています。
例えば、文学、海外文学にしろ日本文学にしろベースは著者の思想です。
じゃあその思想はどこから来たかと行ったら宗教ということが多いはず。特にキリスト教圏なんかは、キリスト教の聖書があらゆる物語のベースになっています。
映画も、文学も、さらには哲学書なども。
じゃあその宗教の思想はどこから?と考えたら、神話、ですよね。
神話というのは、私たちの生命体験を追体験できるものです。つまり究極の共感を得られるものです。さらに教訓も得られます。人間に共通しているいくつもの感情や行動、考え方や成長の仕方を神話は示してくれます。
私のこの考えは、ジョセフ・キャンベルの影響がかなり大きいです。というかそのまんま影響受けています。ジョセフ・キャンベルとは、神話学者です。有名なスター・ウォーズの監督ジョージ・ルーカスは、彼の講義を受けて、それを元に「スター・ウォーズ」を作ったと言われています。スター・ウォーズはまさに「英雄の旅」そのままです。しかも、「スター・ウォーズ」はそのまま、ある種アメリカの神話代わりにもなっています。
神話、物語は人間が生きるために必要不可欠なものです。
物語は面白い。物語に救われたり、勇気付けられたりすることって多いですよね。逆に考えさせられたり、悲しい気持ちになる場合も。
物語は、人が生きる指針となってくれるものです。
映画も、小説も、漫画もアニメも、どうせだったら思い切り楽しむためにも、元ネタを知っておいてもいいのではないでしょうか?
ちなみに神話について知るなら下記がめっっっっっちゃおすすめ。
解説は冲方丁さんです。100回くらい読み返してるらしいです。(参照:http://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi099_ubukata/20100127_5.html)
でもめっちゃわかる。本当に何度も読み返したくなるくらい面白いんです!!
下記冲方さんの解説一部抜粋しますが
キャンベルは言う。「神話は、もしかすると自分が完全な人間になれるかもしれない、という可能性を人に気付かせるんです」(第5章英雄の冒険)
完全な人間とは何か。それはキャンベルによれば、自分が生きているという経験をする人間である。では生きているとは何か。自己の内面において、知らねばならない価値、すなわち個人の至福と出会い、それに従うということである。ではその内面にある価値、個人の至福とは何か。それは個人の幸せの経験を待つしかない。「神話は何があなたを幸福にするかは語ってくれません。しかし、あなたが自分の幸福を追求したときにどんなことが起こるか、どんな生涯にぶつかるか、は語ります」(第5章英雄の冒険) 『神話の力』あとがきより
幸せは自分たちで追求しなければなりません。でも、それを追求した際に起こる困難や障害を乗り越えるヒントを神話は教えてくれます。
現代は、情報が多すぎて、物語をただ消費するだけになっているかもしれません。
スマホからはラインの通知がとめどなくきて、フェイスブックの書き込みや目新しいニュースを1分ごとに確認するなど。インターネットとひたすら繋がっている社会に疲れている人たちも多いと思います。
もしかしたらかつての神話は、現代の私達にはそれほど共感できるものではないかもしれません。でも、だからこそ一度神話に立ち戻り、自分自身で自分の神話を追求してみるといいかもしれません。
神話は人間の生命体験です。私達自身の経験の示唆です。
神話を読んで、物語を何倍も楽しみ、そして自分自身の物語も楽しめるようになれれば最高ではないでしょうか。
落ち込んだり、悲しいこともたくさんあるけれど、物語はいつだって側にいます。
軽い話にしようと思ったけど、結局長くなってしまった。。。
ちなみに古事記も面白いので是非。日本の少年漫画はこれに基づいてるな〜と感じることが多々あります。
読みやすいのは下記。人に勧めまくりました。
古事記をわかりやすく解説してくれて、あらかたの物語はわかります!
日本神話ぶっ飛んどるな!!!!!
ってなるよ。何度も心の中でツッコめます。
インド神話だと下記。
ギリシア神話なら下記。
こちらは石井桃子さんが編集、翻訳されています。
石井桃子さんといえば私は宮崎駿監督を思い浮かべてしまうのですが、そのことについてわかりやすく丁寧な記事を書いている方を見つけましたのでリンク貼らしていただきます。
神話まだまだ読めていませんが、最近また映画を見はじめて、改めて神話や物語というのは素晴らしいものだな、と感じたので書いてみました。
そしてなんとかブログ更新、7月もできた...!!!!
これからも細々と頑張ります。
神話いいよ。神話読もう。